3アウト制

受験勉強をしていると、どうしても解らない問題や理解が難しい内容がたくさん出てきます。毎日の自宅学習時間を決めて、その時間内で終わることができるように1週間もしくは日々の学習内容を計画していても、難しい問題で予定外の時間を費やしてしまうことがよくあります。

「今日はこの単元を終えるはずだった・・もし明日以降に繰り越せば今週の予定が大幅に狂ってしまう・・」「週末の模擬試験までここを終えておく必要があるから、どうしても今日中にはやらせないと・・」

毎日勉強の面倒をみている親としては、予定通りに進まないことを恐れてしまい、結果的に子供にオーバーワークさせてしまいがちです。3時間の勉強予定が、4時間・・5時間・・。これでは子供が親が立てた計画を”恐怖”と感じるようになってしまいます。子供は親の顔色や機嫌を敏感に感じ取って暮らしています。ささいなことが子供のストレスになるのです。

これを解消する奇策があります。
「3ノックアウト制」です。
3ノックアウト制とは、5分を目安に解けない問題は、そこで立ち止まらずに飛ばして次の問題に進みます。その5分間考えている間はテキストの「解説」や「解法」の説明文は読ませず自力で解かせます。あくまでもその日に予定している学習計画が終わることを優先します(これで1アウト)。
次の日に、前日に解けなかった問題をもう一度解き直します。この日も解説や解法の説明文を読みません。あくまでも自力で解法を考えさせます。なぜならここに至るまでにその問題の類題に属する「基本問題」や「例題」を解いてきているわけですから、それが完全にマスターできていれば解けるはずだからです。この日も5分間考えて解けなければまた飛ばしてしまいます(これで2アウト)。
そして3日目に再度、同じ問題に取り組みましょう。この日は5分間考えても、前日までと同様に解法が思いつかなければ、今度は解説や解法の説明文を読みます。説明文が巻末か別冊の解答と同じ部分に掲載されている場合は、解答を隠して説明文だけ読ませるようにします。1分間、解説を読ませます。そして問題にチャレンジさせます。これでも解けなければもう一度解説を1分間読ませます。もしこれで解けたなら、その問題に対する子供が受けるインパクトは非常に強くなり、達成感に近いものを得るはずです。

受験勉強をしていると常に時間に追われたような錯覚に陥り、解けない問題はすぐに説明文を読んで「あ、こうなんだ」と理解したつもりになってしまいます。
しかし考える内容が浅はかなまま、解法を理解させてもすぐに忘れてしまい、本当の実力につながらないばかりか、思考回路の育成にはなりません。あくまでも自力で”一生懸命に考える”というやり方を教え込んで下さい。

3アウト制で問題が解けても、そのまま放置してはいけません。最後の確認を週末にまとめて復習(解き直し)をしましょう。3アウト制の問題ばかりを週末に一気にまとめて単元をまたいで解き直をします。算数は各単元ごとに分けて学習しますから、単元をまたぐ度に頭のスイッチが切り替わってしまいます。縦に学習していたものを横串を刺すようなイメージで、縦横無尽に対応できる能力を育成する上でこれは非常に大切なことです。
これで解けるようになれば、その単元の一通りの学習ははほぼ終了したと言ってよいと思います。

解けない問題は3日目になっても解けないと思う方がいらっしゃるかも知れません。しかし人間の脳は不思議なもので、ずっと考えていると何かを思い出したり、気づくことがあるものです。みなさんもそんな経験が少なからず1度や2度はあるはずです。偶然を待つだけではありませんが、最後まで諦めずに自力で考えることが当然だと子供に刷り込むことが大切です。「あっ!」とひらめいた瞬間に脳が刺激されて活性化されることが研究者の間で判っています。何度も何度も3アウト制を繰り返していると、考える力が育成され記憶の箱を開けやすくなります。是非試して下さい。

自宅学習では時間に自由度がある反面、どうしてもズルズルしてしまいがちです。3アウト制で時間を有効的に使い、学習進度が遅れないような工夫が必要です。
ちなみに3アウトを取られてしまったら(解説を合計2分間読んでも解けなかった場合)、ここではじめて親が解説し理解をさせていきましょう)。また取り組ませる問題の難度は、子供の学力に合ったものを与えることと、単元によって得意、不得意があるので様子をみながら、親が適切なルールを柔軟に決めてもらって結構です。

中学受験 スポンサーサイト


中学受験 コラム

  • ブログパーツ